緑化基礎工
制作:日本植生(株)

緑化基礎工

 緑化基礎工は、のり面緑化工の一部(図-1参照)であり、植生工を施工するにあたり植物の生育環境を整備するもので、ネット張工、のり枠工、柵工等がある。



              図‐1  のり面緑化工の構成

  緑化基礎工の目的は、

@       生育基盤の安定

   生育基盤※1の侵食や移動を防止する。

A       生育基盤の改善

   植物にとって好ましい生育基盤を造成する。

B       厳しい気象条件の緩和

   植物の生育に支障を与える気象的要因を緩和する。

   その要因には、風、雨、日照、温度等がある。

1 ここでいう生育基盤とは、のり面とその表面に造成する植生基盤の総称

 緑化基礎工は、のり面勾配、周辺環境(景観)、気象等の施工条件、緑化目標や植生工の種類、経済性、保全対象等の要求性能を考慮し選定する必要がある。

 

 また、近年、構造物工にも、周辺環境、景観との調和や保全に配慮が求められており、植生工との併用が多くなっている。のり枠工の他に、鉄筋挿入工、グラウンドアンカー工等ののり面の安定を図る工法も、植生工との併用が要求され、緑化基礎工として機能している工種もある。

 

 主な緑化基礎工を図‐2.12.5に、その特徴と留意点を表-1に示す。



  a)欠円形の吹付枠工           (b)矩形の吹付枠工

               図‐2.1 緑化基礎工(吹付枠工の例)

                  

               図−2.2 緑化基礎工(連続長繊維補強土工の例)

 

             
             図−2.3 緑化基礎工(木柵工と繊維ネット工の併用例)


         
             図‐2.4 緑化基礎工(獣害対策金網張工、繊維ネット張工の併用例)


図−2.5 緑化基礎工(河川堤防用ジオテキスタイル張工の例)


表‐1 主な緑化基礎工の特徴と留意点及び併用する植生工の例

種 類

特 徴

留意点

併用する

植生工の例



枠工

吹付枠工

現場打ちコンクリート枠工

のり面の浅部で発生する崩壊に対し、形状、規模に対応できる構造とすることが可能である。

のり面の凹凸に対応できる。

膨張性または収縮性のある岩,あるいは,凍結深が深くなる土砂のり面への適用時は十分に検討する必要がある。

植生土のう工

客土吹工

植生基材吹付工

プレキャスト枠工

植生基盤となる土砂や植生土のうをのり面に固定保持することができる。

のり面に発生する土圧には対応できないので,はらみ出し,凍上等を生ずる場合は避ける。 勾配11.0よりもゆるいのり面で枠が洗掘等で沈下しない箇所に適用する。

柵 工

崩落土砂の部分固定や流下水勢の緩和あるいは落石,雪崩を緩衝できる。

将来的な機能確保のため木本類の導入(播種工,植栽工)を併用することが望ましい。

植生シート工

植生マット工

植栽工

客土吹付工

植生基材吹付工

ネット張工

金網張工

のり表面の流下水,凍上等によるはく落防止及び生育基盤の保持に効果がある。

網目が小さすぎたり,機能が長期間持続するものは,木本類の成長に支障となる場合もある。

客土吹付工

植生基材吹付工

繊維ネット張工

のり表面の流下水,凍上等によるはく落防止や生育基盤の保持に効果がある。

剛性がないので,凍上や落石への対応が難しい。

植生マット

植生シート

防風工

網目の細かいネット張工やフェンス工等は,幼芽,稚樹の乾燥や風衝の緩和に効果がある。

風向,風力,効果程度や範囲を見極める。

連続長繊維

補強土工

連続長繊維を混入した補強土塊の抑止力による地山の安定と,厚い生育基盤の形成が可能である。

湧水や補強土背面の流下水の処理を目的として,排水材をあらかじめ設置する。

植生基材吹付工

参考引用文献

 ()日本道路協会;道路土工 切土工・斜面安定工指針 平成216

 ()全国特定法面保護協会;のり枠工の設計・施工指針(案)

 ()全国特定法面保護協会;のり面緑化工の手引き 平成1811

 国土環境緑化協会;環境緑化製品の設計・施工手引き(案) 平成218