都道府県名 香川県 面積 1,877km2 人口 93万人
地形

香川県は四国の北東部に位置し、北には瀬戸内海、南には讃岐山脈が存在する。香川県は西南日本内帯に位置し、外帯に属する四国の南部と地形や地質、気候までも著しく異なっている。地形は次の四部分に分けられる。

  1. 南部の和泉層群より成る讃岐山脈地帯(標高700〜1,000m)、香川県最高峰竜王山(標高1060m)
  2. 讃岐山脈の前山丘陵地帯(花崗岩系)、および各種溶岩をのせた山塊群(屋島・五色台等)(標高300〜500m)
  3. 讃岐山脈北麓の花崗岩丘陵地の前縁、および各火山性丘陵地間に発達する洪積台地(標高60〜200m)
  4. 各沖積平野(扇状地及び三角州)
地質

香川県の基盤は領家帯と呼ばれる中生代後期の花崗岩類から構成されている。

南部の讃岐山脈は中生代白亜紀の和泉層群からなり、東西〜東北東方向に連なっている。讃岐山脈の北部には、一段低く西南日本内帯で領家帯である花崗岩類の前山丘陵地がある。丘陵地の谷間は、新生代後期の湖沼性堆積層である上部鮮新世の三豊層群及び洪積層で形成されている台地である。瀬戸内海島嶼部の一部では、三豊層群より古い海成新第三紀の土庄層群も分布している。讃岐平野の特徴は、平野の処々に台地状、または円錐状の火山の溶岩でできた丘陵地がある。これらは新生代新第三紀中新世に噴出した火山岩で、凝灰岩と讃岐石と呼ばれる安山岩から出来ている。中新世では、讃岐平野を中心に瀬戸内地域は火山活動の激しい時代であったと想像され、瀬戸内海の小豆島・豊島・男木島・女木島・高見島などの島嶼部にまで讃岐石の発達がみられる。これらの火山岩は、いずれも基盤の花崗岩上に不整合に重なっており、境界面の標高は150〜200mである。溶岩を噴出した当時代の地形は、花崗岩の広大な平坦面であったと想像されている。丘陵地間に発達した河川は扇状地を形成し、高松・丸亀・三豊平野などの狭い平野部が形成され、非常に緩い勾配で瀬戸内海方向に傾いている。

参照図−香川県の地質図(香川大学工学部 長谷川 監修)

参照表−香川県の地質層序表(長谷川・斎藤< 1989)

気象

四国地方は、石鎚山や剣山に代表される急峻な四国山地を境にして、豪雨と渇水という対照的な気象災害特性を有している。

四国山地の南側に位置する高知県や徳島県南部では、土佐湾を挟んで弓状を呈する地形ともあいまって、高知市の年間降水量が2,627mm、徳島県南部の日和佐で2,550mmとなるなど、日本でも有数の多雨地帯となっており、土砂災害や洪水・浸水など災害が多発している。一方、瀬戸内側の香川県や愛媛県中予、東予では、暖候期には、四国山地によって暖湿気流の流入が抑えられ、寒候期には中国山地により寒気の流入が抑えられる。このため、年間降水量が高松市で1,124mm、愛媛県今治市で1,224mmと太平洋側に比べ半分程度と少なく、渇水被害の発生することが多くなっている。

香川県は、瀬戸内海気候区に属し、比較的温暖で年間を通じて降水量は少なく日照時間数が多い気候特性もっているので、渇水に襲われる事も多いが、台風、梅雨前線による大雨に襲われる事も少なくはない。

その他特徴

讃岐平野が地形の上で他の地域と最も異なっているのは、平野の処々に台地状、または円錐状の美しい小山がたくさんあることであり、屋島、五色台、城山、飯野山(讃岐富士)、象頭山などがある。これらは火山岩で形成されており、特に五色台から産出される安山岩はサヌカイトと呼ばれ、古くは石器、現代では打楽器の素材として知られている。

地すべり分布と特徴

香川県は全国的にみても、山崩れ・地すべりは極めて少なく、この点については恵まれている。

新第三紀土庄層群の分布する小豆島地域の地すべりは二種の素因がある。土庄層群中の亜炭を採掘した古洞の陥落型、新第三紀層の斜面上に、上位の集塊岩及び安山岩起源の堆積した10〜15m程度の崖錐層のすべりが多く、いわゆる新第三紀層地すべりの活動とみられている。讃岐層群の岩体がキャップロックする地質構造では、落石型崩壊や大規模な地すべり崩壊も少なからず発生している。

阿讃山脈を形成する和泉層群は、砂岩・頁岩互層で一部に凝灰岩を介在し、頁岩・凝灰岩の風化により新第三紀層地すべりと類似の様相を呈するものもあるが、大部分は崖錐が厚く堆積し、各河川の侵食により、不安定となり山崩れ状を呈する。地すべりは地質構造が流れ盤の斜面で多発しており、特に土木工事の切土に伴った発生も多い。受け盤の斜面では、トップリング型崩壊が発生することもある。

香川県の大部分の基盤は花崗岩類である。これら花崗岩類は風化が進んでおり、マサ土状の風化岩帯が広く認められている。また、断層の影響を受け、花崗岩中に節理・亀裂が発達している。岩体としては、雨に脆く、大雨に伴う表層崩壊や節理型崩壊が中心となる斜面災害が多発している。表層崩壊は土石流や土砂流災害となり、集中豪雨時に多大な被害が発生する。

参照図−香川県の地すべり地形図(坂本,1994に一部加筆)

対策事業の実施状況 所轄区分 箇所数 区域面積(ha) H20年砂防便覧参考
(農村振興局は令和5年4月21日現在)
国土交通省

17

702

農村振興局

5

369

林 野 庁

0

0

合  計

22

1,071

掲載号(「斜面防災技術」に紹介された地すべり地)

Vol.35,No.1(2008年7月,通巻103号)座談会:四国支部の活動状況と新時代の運営

Vol.35,No.3(2009年3月,通巻105号)技術資料:−私の経験した現場−横ボーリング工の効果的な施工について

Vol.48,No.2(2021年8月,通巻142号)座談会:四国支部の活動状況と運営方針

参考文献

四国地方土木地質図編纂委員会(1998):四国地方土木地質図・解説書
クボタ鉄工株式会社(1989):アーバンクボタ・特集「古瀬戸内海と瀬戸内火山岩類」

香川県河川砂防課ホームページ:
https://www.pref.kagawa.lg.jp/kasensabo/index.html