構造改善局所管     八木山(やきやま)地すべり   秋田県  

位置図


崩壊状況写真

「地すべり技術」掲載号:Vol.22,No.2(1995年11月,通巻65号)
地すべりの概要
1.地すべりの概要

 八木山地すべりは,秋田県南西部にあり,子吉川水系笹子川に直接面する北東斜面末端部に位置してる。笹子川沿いに形成された比高差30〜40mの段丘斜面で,地すべりや地すべり性崩壊が多発している。昭和22年に大規模地すべりが発生して以来,断続的な変動を繰り返し,昭和36年に地すべり地に指定された。平成6年には,隣接した二つのブロックが一帯となって大変位し,地すべり規模は笹子川上流側ブロックで幅75m,奥行き100m,下流側で幅65m,奥行き100mとなった。これら地すべりによる直接的な被害は,水田,農道であったが,その背後にある農地および家屋,町道にも被災が及ぶ恐れがあるほか,笹子川への崩積土の流出が河道の縮小につながり2次災害に及ぶ可能性もあった。

2.地形・地質概要
 本地域は,標高150〜550m級からなる開析の進んだ起伏量の多い丘陵地〜山地からなる。大局的に斜面体は流紋岩から構成される観音森山の北東側急斜面と緩斜面をなす段丘面,これより笹子川に至る急崖斜面と大きく三つに区分できる。 地すべり地の地質は,新第三紀中新世の堆積岩類,火山岩類を主体とし,これを覆って段丘を構成する砂礫層が分布している。地質構造は北西〜南東に走向をもつ南西側傾斜で,緩い受け盤構造である。また,地すべり地が鳥田目断層群沿いに当っており,地すべり基岩には鏡肌をもつ小さな断裂が多く認められる。

3.地すべり機構
 地すべりを誘発した原因は,地すべり土塊の細分化による裂か水的な地下水帯がブロック全体にわたって発達していたところに,融雪水の浸透があったこと,河川水によりブロック末端が大きく洗掘されたこと,加えて河川水位の低下と地すべりブロック内の水位の減少速度の違いによる残留間隙水圧の発生などの相乗作用に起因し,地すべりが発生したと考察される。

4.対策工
 頭部排土工,押え盛土工,集水井工,横穴ボーリング工,護岸工

地すべりの特徴
 地すべり地付近の地質図
 対策工平面図
 対策工断面図(上流側ブロック)
 対策工内訳