万畑(まんぱた)地すべり 茨城県

「地すべり技術」掲載号:Vol.41,No.3(2014年、通巻122号)

「斜面防災技術」掲載号:Vol.44,No.2(2017 年、通巻130 号)

1.地すべりの概要

万畑地区は、常陸太田市赤土町地内にある。平成19年9月の温暖前線に伴う豪雨により、幅約40m、奥行約45mの活発な地すべり滑動(aブロック)が発生したことを契機に概略踏査を実施し、9つの地すべりブロックが抽出され、横ボーリング工・集水井工等の地下水排除工を中心に事業が進められている。

2.地形・地質の概要

(1)地形

  • ・標高は200~300mで、地区付近で久慈川の支流である赤土川が北から南へと流下する。万畑地区は赤土川の右岸に位置しており、比較的緩い勾配の斜面に、複数の段差地形が確認される。これらは、過去の地すべり活動によって形成された可能性が高い。

(2)地質

  • ・当地区は、新第三紀中新世の堆積岩が分布し、下位から北多気層・浅川層・男体山火山角礫岩・西染層・大門層・下坪層に区分され、主として浅川層の砂岩、泥岩が流れ盤構造で分布する。

3.素因・誘因

(1)素因

  • ・風化しやすい砂岩泥岩互層が斜面に対し流れ盤構造で分布する、さらに大規模地すべりブロックの末端部に位置し、脆弱な地質で構成される。

(2)誘因

  • ・複数回の豪雨により地すべり面付近の間隙水圧が上昇するとともに、すべり面強度が低下した。

4.対策工

Aブロックでは、活発な地すべり滑動が継続していたことから、応急盛土工が実施された。その後鋼管杭工、頭部排土工が実施され、さらにブロック頭部には、表面排水路工が実施された。その他のブロックにおいても、横ボーリング工・集水井工等の地下水排除工を中心に事業が進められている。

地すべりの特徴