国土交通省 所管       大涌沢(おおわくさわ)地すべり 神奈川県


地すべり平面図

位置図

「地すべり技術」掲載号:Vol.30,No.1(2003年7月,通巻88号)
地すべりの概要
1. 地すべりの地概要
 当地すべりは神奈川県西南部に位置する箱根火山の中央火口丘である神山(1439m)の北に位置する。地すべり防止区域面積は52.10haである。明治43年に死者6名をだす地すべりが発生して以来、たびたび地すべりが発生し、古くから地すべり調査が実施されている。近年では平成10年8月28日に1ブロックの一部で浅層地すべりが、平成13年9月10日に3ブロック及び5ブロックの一部で地すべりが生じ、温泉供給施設等が被災している。
2.地形・地質概要
 大涌沢地すべりは箱根火山の中央火口丘のひとつで、成層火山である神山の山腹の爆裂火口内に位置する。底部の大涌沢を挟んで右岸側(神山側)は比較的急峻な地形で、左岸側はロープーウェー大涌谷駅などの保全対象がある。
3.素因・誘因
 対象箇所は成層火山である神山の山腹に位置し,安山岩溶岩と同質の凝灰角礫岩から成る。底部や1,3ブロックで噴気活動が激しく地下深部まで温泉余土化が進行している。大涌谷駅付近の尾根は泥流堆積物の堆積により形成されている。
4.地すべり状況
 平成7年度から「大涌沢地すべり対策検討委員会(委員長 中村三郎防衛大学校名誉教授)」を設置し、ボーリング調査等の結果に基づき地すべり機構解析や対策工の検討を行っている。現在地すべりブロックは11ブロックあり,この内1ブロック,3ブロック,5ブロックを中心に調査対策工が実施されている。5.地すべり発生機構
 素因:温泉余土化による地盤強度の低下。すべり面粘土の生成。
 誘因:豪雨による地下水位の上昇,すべり面粘土の膨潤。
6.対策工

 実施済み対策工
 1ブロック:横ボーリング2群(総延長1200m)
 3ブロック:横ボーリング4群(総延長1100m)
 5ブロック:耐腐食性新素材アンカー工39本,横ボーリング工2群(総延長60m),繊維補強吹付け法面工
地すべりの特徴
  地すべり平面図

 3ブロック断面図
 5ブロック断面図
  箱根火山と大涌沢地すべり全景写真