国土交通省 所管     生須(なます)地すべり

群馬県

 

 

                          

        生須地すべり模式平面図                   地すべり位置図


「地すべり技術」掲載号:
Vol.23,No.1(1996年,通巻67)

 

地すべりの概要

1.地すべり地の概要

 生須地すべり防止区域は、群馬県吾妻郡六合村、利根川水系吾妻川の左支白砂川の長野原合流点より10km上流に架橋された龍宮橋の左岸斜面に位置する。

 昭和57年の台風10号により滑動し、龍宮橋が隆起するなどの変状が認められた。地すべりブロックは、「赤崩れ」と呼ばれる滑落崖を頭部とする幅約650m、奥行き約500m、の規模の下部ブロックと、この上方の幅約600m、奥行き約300mの上部ブロックより構成される。

2.       地形地質概要

 地すべり防止区域は白砂川の左岸側の段丘面を中心に位置し、川側斜面は急峻な崖となり、基盤岩類が露岩し段丘礫層が薄く分布する。当地域周辺は第三紀中新世の溶岩、溶結凝灰岩が分布しており、龍宮橋下流の湯川発電所付近の河床に凝灰岩類が露岩し、上流の平温泉付近の河床に安山岩が露岩している。また、「赤崩れ」と呼ばれる急崖を構成する礫層が滑落面に露呈する。この礫層は、白根軽石流が白砂川を塞き止めた際に堆積したものと思われ、最大40m程度の層厚で分布する。

 

3.       地すべり発生機構

 素因として、基盤岩内は、断層や破砕帯などに起因した熱水変質を受け、脱色・粘土化している部分が存在し連続した弱線を形成している。またリニアメントに規制された滑落崖が存在し、地質構造の影響を大きく被っているものと推察される。

 誘因は白砂川の下刻浸食が非常に早かったため、末端抵抗力の除荷が顕著であった。また、上方斜面からの地下水供給が顕著であり集中豪雨や融雪などが地すべりの誘因となっていると考えられる。

 

4.       対策工

 排水トンネル工、集水井工、水路工、横ボーリング工

 

地すべりの特徴

地すべり全景

対策工平面図

総合断面図

対策方針

地下水排除工