国土交通省所管     西津黄(にしつおう)地すべり 山口県 


位置図

対策工平面図

「斜面防災技術」掲載号:Vol.34,No.1(2007年7月,通巻100号)
地すべりの概要
1.地すべりの概要

 西津黄地すべり地区は県の北西部、長門市北部に位置し,海岸部が北長門海岸国定公園に指定を受ける一方で,内陸部では豊かな棚田景観を有している。本地区は,昭和63年3月に地すべり防止区域の指定を受けて,対策工事を行い,平成17年度に概成している。指定面積は46.36haで,T〜Zまでの7つのブロックで、幅50〜100m,長さ100〜200m,移動層厚5〜20mと中規模の崩積土地すべりからなる。このうち,ブロックTでは,昭和62年度に地すべりが発生し,低標高域の集落,漁港等が被災する危険にさらされた。

2.地形・地質概要
 当地区は,日本海側の津黄漁港へと連なる千畳敷(標高329.8m)の西側斜面に位置する。本地区で判読できるリニアメントはN30°WとN50〜70°Eの2系統が卓越し,これらに規制されて北側に開く馬蹄形の地すべり地形が形成されている。
 地質は,新生代第三紀始新世の津黄安山岩と,その後の堆積岩層である日置(ひおき)層群(漸新世)および油谷湾層群(後期中新世)を基盤とする。さらに高標高域では,千畳敷を形成する大津玄武岩溶岩(後期中新世)がこれらを不整合に覆い,いわゆるキャップロック構造を成している。

3.素因・誘因
(1) 素因:広大な後背山地からの地下水の供給。低強度の崩積土層の堆積。N30°WとN5 0〜70°Eの2系統のリニアメントによる規制
(2)  誘因:大雨による間隙水圧の上昇

4.対策工
下水排除工(集水井工,横ボーリング工他),抑止杭工

地すべりの特徴
 地すべり(ブロックT)断面図
 山口県の地質図