地形 |
- ・愛知県の地形は、県東部の山地、県西部の平地、その間に連なる丘陵地そして、海に突き出した知多、渥美の二つの半島からできている。
- ・山地は、長野県境の茶臼山(1,415m)を頂点 に南西に向かって徐々に標高を下げていき、山地の大部分を占める三河山地は、侵食の進んだ比較的緩やかな山容で、同じような高さに稜線が並ぶ隆起準平原と呼ばれる地形となっている。
- ・平地は、木曽川、庄内川下流の濃尾平野、矢作川下流の西三河平野、豊川下流の東三河平野が主なもので、濃尾平野には巨大な扇状地や、広大な海抜0m地帯が拡がり、庄内川や矢作川、豊川の下流には、河川に沿って河岸段丘や台地が連なっている。
- ・丘陵地は、濃尾平野の東側に岐阜県境から知多半島の先端にかけて南北に伸びている。
- ・知多半島は、三河湾と伊勢湾に挟まれた長さ約25km、幅約10kmあまりの半島で、主に丘陵地からなる。
- ・渥美半島は、三河湾と太平洋を仕切る長さ約40km、幅約10km の半島で、太平洋側が切り立ち三河湾に向かって緩やかに傾斜する台地となっている。
(愛知県の地形)
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地質 |
- ・愛知県の地質は、県の東部と西部で大きく異なる。東部は主に白亜紀以前(6.6千万年前以前)に形成された岩盤が隆起した山地、西部は新第三紀以降(2.3千万年前以降)に堆積した丘陵地や台地、平野となっている。
- ・県東部には、一級河川豊川から渥美半島の北側に沿って中央構造線が走っており、この北と南でも大きく地質が異なる。
- ・県の東部は、中央構造線の南に三波川帯、秩父帯という地質帯に属する結晶片岩や堆積岩、北に領家帯に属する花崗岩や片麻岩等が山地を作っており、山地の間を流れる河川の下流には、第四紀以降(258万年前以降)に堆積した台地や平野が拡がっている。また、鳳来寺山や茶臼山の周辺には 1,500万年前頃に活動した火山に由来する地質が見られる。
- ・県の西部には、尾張東部から知多半島にかけて新第三紀に堆積した丘陵地が南北に連なり、良質な粘土や硅砂を産出し、瀬戸や常滑など焼き物の産地が点在している。丘陵地の西側は、第四紀以降、現在まで堆積が続く沖積平野となっている。
(愛知県の地質)
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気象 |
- ・愛知県は太平洋岸気候区に入り、夏は高温・多雨、冬は小雨・乾燥する特徴がある。
- ・渥美半島と知多半島の南部は、熊野灘・遠州灘を流れる黒潮の影響をうけ、四季を通じて温和な気候である。三河の山間部は、やや内陸性を帯び、冬は厳しい冷え込みとなる。このため、山間地と平地では、平均気温にして約3~4度の気温差がある。
- ・降雪はあまり多くないが、尾張地方北西部 は日本海までの距離が比較的短いため、関ヶ原などの山あいから季節風が吹き込み、積雪になることもある。
- ・愛知県に災害をもたらす異常気象は、主に台風や梅雨前線、秋雨前線による大雨で、特に、北に前線が停滞し、西に台風、東に高気圧という気圧配置になった時には、台風からの南西風と高気圧からの南東風がぶつかり、前線に向かって上昇気流が発生して南北に雲が連なる線状降水帯が現れ、大きな災害になることがある。
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その他特徴 |
- ・濃尾平野は木曽三川(木曽川・長良川・揖斐川)により形成された沖積平野であり、古くから内水災害が多発している。鎌倉時代末期以降、輪中(わじゅう)とよばれる内水被害軽減のための堤防が各地に作られ、その一部は現在も残っている。
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地すべり分布と特徴 |
- ・地すべりは、県の東部、北東部に多い。一部は南部の知多半島先端付近にみられる。地すべりが集中する東部は結晶片岩からなる三波川帯、北東部は領家帯の花崗岩や新第三紀・中新世の設楽層群の分布域に属する。前者は破砕帯地すべり、後者のうち設楽層群での地すべりはいわゆる第三紀層地すべりのタイプが多い。
- ・破砕帯地すべりは斜面勾配が急で、崩壊に近い形態のものが多い。
- ・第三紀層地すべりは斜面勾配が緩く、運動形態は粘性型の地すべりが多い。
- ・愛知県の地すべりの最も大きな特徴は、「その他の地すべり」に区分される地すべりが多いことである。主として領家帯の花崗岩分布域にみられ、深層風化によって形成されたマサ土で発生している。
- ・活動性に注目すると、愛知県の地すべりは活動があまり活発でなく、慢性的かつ継続的に動いている地すべりはない。
(愛知県の地すべり防止区域)
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対策事業の 実施状況 |
所管区分 |
箇所数 |
区域面積(ha) |
国土交通省 |
23 |
505.6 |
農村振興局 |
- |
- |
林野庁 |
2 |
- |
合計 |
25 |
- |
令和4年4月現在の県の地すべり防止区域は表の通りである。
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「斜面防災技術」掲載号 (紹介されている地すべり地) |
Vol.33,No.2(2006年11月,通巻98号):大畑地すべり(国土交通省所管)
Vol.51,No.2(2024年8月,通巻151号):豊浜地すべり(国土交通省所管) |