都道府県名

北海道

面積

83,424 km2

人口

522万人

地形

北海道の地形区分、を別図に示す。

北海道のほぼ中央部を北から南へ,天塩山地,北見山地,石狩山地,日高山脈が走っており,最高峰の旭岳(標高2,291m)を中心とする大雪山系は北海道の屋根と呼ばれている。

道内各地には石狩平野をはじめ十勝平野,天塩平野,名寄盆地,上川盆地,富良野盆地などの平野が広がっており,釧路湿原やサロベツ湿原など日本を代表する湿原もある。

河川は、1級河川が1,133河川、2級河川が467河川あり、良好な水質を維持している。

地質

北海道の地質図、を別図に示す。

北海道の地質、地質構造の概観については、東北日本弧と千島弧の会合部にあたり、地形を大きく3つに分けると、下記である。

1)宗谷岬〜襟裳岬の脊梁山地(宗谷丘陵,天塩山地,夕張山地,日高山脈)

2)東側の平地・丘陵地と西南西- 東北東方向に配列する火山列

3)西側の平地と北西- 南東方向に配列する火山,東北日本の延長となる渡島半島

地形はそれを構成する地質を大きく反映しており、地質分布も3つに分けられる。

1)脊梁山地を構成する天塩山地から日高山脈には白亜紀から古第三紀の堆積岩および付加体が分布している。

2)東部には新第三紀層および第四紀火山噴出物が分布している。十勝平野や釧路湿原には,第四紀の堆積物が分布している。

3)主に渡島半島にあたる南西部は,中古生層から新第三紀層および第四紀の火山噴出物が分布している。

気象

暖候期の降水量分布および降雪深と積雪日数、を別図に示す。

年平均気温が5℃から10℃、年平均降水量が700〜 1,700mmあり、本州以南に比べて冷涼・少雨で、特に冬期には最も寒い月の平均気温が0℃以上になることはなく、また1月から2月にかけてオホーツク海が流氷で覆われるなど、まさに「積雪寒冷の地」ということになる。また、最近では梅雨末期の降雨や台風の影響を受けることも多くなり、局所的に大雪となる事象が目立ってきている。

気候は大きく、日本海型、太平洋型、オホーツク海型、太平洋東部型に区分される。

積雪は、積雪日数120日以上(道東、道南を除く)、最大積雪深150cm以上(道東、海岸部を除く)。

暖候期(5〜10月)の降水量は、山岳部付近を除くと概ね800mm以下である。これは本州以南が8001500mmに対して少なくなっている。

降雪深が4mをこえる多雪地域は日本海側の2地域に偏在している。

その他特徴

「洞爺湖有珠山」「アポイ岳」「白滝」「三笠」「とかち鹿追」「十勝岳」の6地域が日本ジオパークとして認定されており、そのうち「洞爺湖有珠山」「アポイ岳」2地域はユネスコの世界ジオパークに認定されている。

地すべり分布と特徴

最近30年の気象の変化、を別図に示す。

1)函館市や江差町,奥尻島が含まれる道南地方,渡島半島では新第三紀の地層,とりわけ中新世の泥岩層,グリーンタフ分布域に地すべりの地形が多く分布している。

2)札幌市や小樽市、苫小牧市や室蘭市などが含まれる南西部〜道央では、鮮新世〜更新世の溶岩台地周辺に地すべり地形が多く分布し、積丹半島から南東方向に分布する厚い溶岩をのせた溶岩台地ではキャップロック構造となるため、その周辺では大規模地すべり地形が発達している。

3)襟裳岬から北西方向にある脊梁山地南部は、日高山脈西側の白亜紀〜古第三紀層、あるいは蛇紋岩の分布域に地すべり地形が多く分布している。

4)南南東- 北北西方向に伸びる脊梁山地北部には、旭川市、士別市、稚内市が含まれる。
稚内市の西には利尻島、礼文島が位置しており、この地域では白亜紀層、新第三紀層、蛇紋岩、溶岩台地周辺に地すべり地形が多く分布している。

5)釧路市、根室市などが含まれる道東南部では、古第三紀〜新第三紀層の分布域での地すべり地形が代表的で、他の地域と比べると地すべりの分布が少ないように見え、これは、屈斜路湖に代表される火山からもたらされた火山噴出物(火山灰)分布域に地すべり地形が少ないためである。

6)北見市、網走市などが含まれる道東の北部では、古第三紀〜新第三紀層、溶岩台地周辺に地すべり地形が多く分布しており、北見市の南部および知床半島にも地すべり地形が多く分布している。

対策事業の実施状況

所管区分

箇所数

区域面積(ha)

令和5年度末現在の北海道の地すべり防止区域は左表の通りである。
所管別の地すべり箇所分布
、を別図に示す。

国土交通省

     67

   1430.56

林 野 庁

     93

   3288.66

農村振興局

     59

   2118.33

合  計

    219

    6837.55

掲載号(「斜面防災技術」に紹介された地すべり地)

Vol.25,No.3(1999年3月,通巻75号)

 安平志内地すべり、沖万別地すべり、美唄右股の沢地すべり(林野庁所管)

Vol.27,No.2(2000年11月,通巻80号)

 大江地すべり、村井ノ沢地すべり、稲里北地すべり(農村振興局所管)

Vol.47,No.2(2020年8月,通巻139号)座談会

 北海道支部の活動状況と運営方針

Vol.48,No.3(2021年12月,通巻143号)報文

 北海道の斜面防災対策
 -北海道で発生した深層崩壊事例と予防対策事例について-

Vol.48,No.3(2021年12月,通巻143号)講座

 胆振東部地震に学ぶ地震地すべり(その2)-テフラ層すべり-

Vol.49,No.3(2022年12月,通巻146号)技術資料

 -私が経験した現場-
 胆振東部地震をきっかけに発生した地すべり災害について

Vol.51,No.3(2024年12月,通巻152号)座談会

 北海道の斜面防災を語る(その1)

Vol.52,No.1(2025年4月,通巻153号)座談会

 北海道の斜面防災を語る(その2)

MT