地形 |
石川県は南北に細く、以下の2地区に区分される。
- ・加賀地方(金沢市以南)
白山(標高2,702m)を最高峰とする山岳地帯が南東部に位置し、これより北西に流下する河川により形成された沖積平野が発達している。
- ・能登地方(津幡町以北)
標高300m以下の低山性山地と丘陵地がほとんどを占め。海岸段丘がよく発達している。
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地質 |
地質概要は、別図に示す。
- (1)変成岩類及び深成岩類(先ジュラ紀):手取川上流地域、宝達山、石動山付近、能登北西部などに露出している。
- (2)後期中生代の地層(ジュラ紀末~白亜紀):県南東部の手取川上流白山地域に広大な分布を占める手取層群と、小範囲に分布する足羽層群の大道谷層がある。
- (3)古期流紋岩質火砕岩類(白亜紀後期~古第三紀):中新世に形成された流紋岩や流紋岩質火砕岩類が広大な分布を占める。
- (4)中新世前期の火山性岩石:能登半島、金沢以南の加賀南部とで広大な分布を占める。安山岩質の火山性岩石の上位には、加賀南部では流紋岩質の火砕岩と溶岩が広く分布する。能登北東部では、デイサイト質の火砕岩と溶結凝灰岩、ならびにそれに伴う玄武岩溶岩が広く分布する。能登中部では、安山岩質の火砕岩・溶岩が広く露出する。
- (5)中新世・鮮新世及び更新世前期の地層:全県的に広大な分布を占め、とくに能登南部から加賀北部にわたる山地・丘陵の大部分を構成している。
- (6)第四紀の火山岩類:県南東部の白山の頂上部と、大日山の付近に分布し、角閃石安山岩の溶岩と火砕岩から成る。このほか、金沢市東部の戸室山及びキゴ山も第四紀の火山に属し、角閃石安山岩から成る溶岩円頂丘と、その西側に分布する泥流堆積物から成る。
- (7)更新世中期・後期の堆積物:更新世中期の地層は、加賀南西部の山麓縁に広く分布するほか、七尾市付近、金沢以南地区の高位段丘、能登北部の高位海岸段丘として分布する。更新世後期の堆積物は、加賀南西部の中位段丘、金沢付近の河岸段丘、能登半島の七尾・珠洲地区などの中位海成段丘を構成する。
- (8)完新世の堆積物:広大な加賀平野や邑知潟平野の上層に広く分布する。生成の場所と条件によって、扇状地礫層、潟埋積泥質層、河谷堆積層、砂丘砂層に大別される。
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気象 |
- ・海岸区(花芽平野から能登半島一帯)
海洋の影響で比較的温暖。降雪は山間部に比較して少ない。
- ・加賀山間部(加賀南東部一帯)
山岳気候であり、冷涼。年間通して降水量が多い。
- ・年平均気温:14.6°C、年間降水量:2,398.9mm(1981~2010)
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その他特徴 |
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地すべり分布と特徴 |
地すべり防止区域を、別図に示す。
- ・初生地すべりは少なく、大部分は過去に発生した地すべりによる崩積土が二次的、三次的に移動変形する。
- ・能登半島の北側と北⻄側は地すべり密集地帯となっている。これは地質的素因とともに更新世における侵⾷平坦化作⽤が原因と考えられる。
- ・代表的な地すべり地は、輪島市の縄又、下山、珠洲市上正力と白山市白峰の甚之助谷がある。
- ・七尾以南の石動・宝達山地や宝達山南東側の地域は、中新世後期における宝達山塊の著しい隆起に際して形成された断層群や地層の傾斜、並びに中期更新世に起こった背斜的隆起などが関与していると考えられる。
- ・地すべり地の分布には地域的な偏りがあり、各地域の地形・地質および気象と地すべり発生機構との間には密接な関連が認められる。(石川県の地すべりと地質の特徴)
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対策事業の実施状況 |
所管区分 |
箇所数 |
区域面積(ha) |
国土交通省 |
132 |
5,068 |
農村振興局 |
83 |
5,273 |
林野庁 |
93 |
4,781 |
合計 |
308 |
15,122 |
平成26年4月現在の石川県の地すべり防止区域は上表の通りである。 林野庁所管の
地すべり対策事業の推移を別表に示す。 |
掲載号(「斜面防災技術」に紹介された地すべり地) |
Vol.14,No.3(1988年4月通巻42号): 仁江地すべり、深見地すべり、東中尾地すべり、白鳥地すべり、白峰地すべり、大道谷地すべり
Vol.28,No.2(2001年11月通巻83号): (農村振興局所管)岡田北地すべり、道下地すべり
Vol.41,No.3(2014年12月通巻122号): (林野庁所管)徳成谷内地すべり、鍛冶屋地すべり
Vol.47,No.2(2020年8⽉通巻139号): 石川県の斜面防災-石川県土木砂防課における地すべり対策事例(報文) |