都道府県名

東京都

面積

12,582 km2

人口

1304万人

地形

 東京都周辺の地形区分を、図-1に示す。

東京都は特別区および多摩地域からなる内地部と、伊豆諸島、小笠原諸島の島しょ部からなっている。

多摩地域の西部は、雲取山(2017m)を最高峰とし、先第三系が広く分布した起伏の大きな山地である関東山地(西部山地)からなる。

西部山地は東に向かい次第に高度を下げ、多摩丘陵・狭山丘陵に連なる。

多摩東部と特別区は台地および沖積低地からなる。

島しょ部は伊豆諸島と、小笠原諸島からなり、いずれも伊豆小笠原海溝西側に、海溝と平行に形成された火山列島である。

地質

 地すべりはおもに西部山地および島しょ部に分布している。西部山地の地質図を、図-2に、島しょ部の地質図を、図-3に示す。

西部山地は三畳系〜白亜系の砂岩、泥岩が主体であり玄武岩、石灰岩、チャートをともなう。これらは、北西−南東ないし、北北西〜南南東方向の走向を有し、一般に北東方向に急角度で傾斜する。また、一部に石英閃緑岩(貫入岩)がみられる。 

これらはいずれも比較的膠結度が高く、急峻な山地を形成している。 

本地域はかつて厚い火山灰(関東ローム)に覆われていたと思われるが、現在は段丘面上のほか、一部の稜線上にも断片的に残っている。

伊豆諸島のうち、大島は中期更新世に活動したとされる玄武岩質の火山体を土台とし、後期更新世以降現在まで続く火山活動による噴出物が重なっている。新島、式根島、神津島は後期更新世以降の珪長質の火山岩類が主体で、一部玄武岩類をともなう。利島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島は後期更新世以降の苦鉄質の火山岩類からなる。

上記の伊豆諸島のうち、式根島を除くといずれも活火山を有しており、特に、伊豆大島、三宅島は、近年も間欠的な活動が継続している。

小笠原諸島は古第三系の火山岩類が主体であり、同時代の堆積岩類をともなう。

気象

内地部の年間降水量は15001600mm程度で、梅雨期の6月と秋雨の9月〜10月に多い傾向がある。冬季の降水量は少ない。

伊豆諸島の年間降水量は3000mm前後であり、国内でも有数の多雨地域である。内地と同じく6月と9月〜10月に多い傾向があるが、他の地域と比較して冬季も降水量が多い。

小笠原諸島の年間降水量は1300mm程度である。梅雨や秋雨は、本土とは時期が1月ほどずれており、5月、11月ごろに雨が多い傾向がある。

その他特徴

東京都の地すべり防止区域はいずれも国土交通省所管であり、対象事業の計画は建設局河川部で行われている。

事業の実施は、所管の建設事務所および島しょ部の各支庁が担当する。

地すべり分布と特徴

 地すべり危険箇所の分布を図-2および図-3に示す。また、地すべり防止区域の一覧を表-1に示す。地すべり危険箇所は西部山地および島しょ部(神津島、御蔵島、八丈島、青ヶ島、父島、母島)に分布する。

西部山地の地すべりは、砂岩、頁岩およびこれらの互層の分布域に形成されたものが多く、一般には独立した地すべり地形をなしている。また、比較的硬質な地質を反映して、地すべりとしてはやや急な急勾配をなしている事が特徴である。

西部山地における、近年の顕著な地すべり災害としては、平成139月の上元郷地区における台風15号災害があげられる。台風にともなう連続591mmの雨(気象庁小沢観測所)により、山腹斜面で地すべりが発生し、民家、一級河川、都道等に被害がおよぶ恐れがあったため、災害関連緊急地すべり対策事業が採択された。また、平成19年の台風9号では、総雨量683mmの降雨(気象庁小河内観測所)により多摩川流域で土砂災害が頻発した。奥地区においても小規模な地すべりの発生が確認されている。

伊豆諸島のうち、主成層火山を有する御蔵島、八丈島、青ヶ島の地すべり危険箇所はいずれも山麓の比較的緩傾斜面上に形成されている。神津島の2つの地すべりは、固結度の低い流紋岩質の火砕流堆積物の分布域で形成されたもので、平成127月の群発地震および台風3号による豪雨により被災し、災害関連緊急地すべり対策事業により復旧された。

父島・母島では玄武岩質、安山岩質の自破砕溶岩や凝灰角礫岩の分布地に地すべりが見られる他、北西部の三日月山周辺では泥岩砂岩互層を母岩とする地すべりも存在する。

対策事業の実施状況

所管区分

箇所数

区域面積(ha)

平成1912月現在の地すべり防止区域

国土交通省

12

147.09

農村振興局

0

0

   

0

0

合    

12

0

掲載号(「斜面防災技術」に紹介された地すべり地)

なし