国土交通省 所管       石原(いしはら)地すべり 岐阜県

位置図および地すべりブロック

「地すべり技術」掲載号:Vol.29,No.1(2002年7月,通巻85号)
地すべりの概要
1. 地すべりの概要

昭和63年8月3日に宮谷右岸の護岸施設に亀裂・押出し等の変状が幅約50m認められる。その後,斜面の上部約70mで幅150m,落差1.5〜2.0mの亀裂が発見され,平成年3月に地すべり指定地となる。その後,馬蹄形を呈する地すべり地形が,上記災害斜面に連続する斜面にみられたため,平成3年,10年に追加指定される。石原地すべり防止地区の指定面積は,平成元年,3年,10年でそれぞれ,8.60ha,8.26ha,6.38haであった。地すべりブロックは,平成元年,3年,10年でそれぞれ,南側T〜Wブロックの4つ,中央T〜Wブロックの4つ,北側A〜Eブロックの5つからなっている。平成13年度,対策工は全ブロックにおいて概成に至っている。

2.地形・地質概要
 当地区は岐阜県高山市から南約6kmの宮村で,1級河川宮川の支流・常泉寺川の小支宮谷の右岸斜面上部に位置する。全体として西向き40°〜50°前後の急傾斜地であり,ほぼ平衡斜面であるが,この中に馬蹄形の地すべりが数カ所認められる。
 地質は下位より中生代ジュラ紀の大西層砂岩・粘板岩および礫岩,これを不整合に被覆する白亜紀後期に噴出した濃飛流紋岩類の舟山溶結凝灰岩,舟山溶結に白亜紀末期に貫入した花崗斑岩,新生代新第三紀鮮新世後期に噴出した玄武岩溶岩および岩脈である。大西層および舟山溶結凝灰岩は,西向き斜面において流れ盤構造を成している。

3.素因・誘因
(1) 素因:流れ盤構造の大西層および舟山溶結凝灰岩の存在
(2) 誘因:降雨による間隙水圧の上昇

4.対策工
 (1) 平成元年度ブロック
 T・Uブロック:排土工,アンカー工,横ボーリング工
V・Wブロック:集水井工8基,横ボーリング工15群,杭工
(T〜Wブロックには自動観測システムを設置)

(2) 平成3年度ブロック
 Tブロック:集水井工2基,横ボーリング工数群
Uブロック:横ボーリング工3段5群
Vブロック:横ボーリング工
Wブロック:横ボーリング工
(3) 平成10年度ブロック
 Aブロック:集水井工1基,横ボーリング工,水路工
Bブロック:横ボーリング工,水路工
Cブロック:横ボーリング工
Eブロック:横ボーリング工,水路工
地すべりの特徴
 Tブロック地すべり断面図
 Uブロック地すべり断面図
 高山盆地周辺地域の地質図