国土交通省 所管       早雲山(そううんざん)地すべり 神奈川県


全景写真


位置図

「地すべり技術」掲載号:Vol.30,No.1(2003年7月,通巻88号)
地すべりの概要
1. 地すべりの地概要
 当地すべりは神奈川県西南部に位置する箱根火山の中央火口丘である神山(1439m)の北東に位置する。地すべり防止区域面積は24.20haである。
 昭和28年7月26日、地すべり(斜面長200m、幅100m、厚さ20m、土砂量約80万m3)が発生し、移動土塊の一部は土石流となって須沢に沿って約2.0km流下し、強羅地区では死者13名、負傷者15名の犠牲者を出す大きな災害となった。
2.地形・地質概要
 地すべりは爆裂火口内にあり,爆裂火口特有の急峻な山腹に囲まれ、底部からは硫化水素などの火山ガスが盛んに噴煙を上げている。斜面下方は砂防指定地である須沢となる。
3.地質概要
 対象箇所は成層火山である神山の山腹に位置し,安山岩溶岩と同質の凝灰角礫岩から成る。爆裂火口底部付近を中心に噴気活動が活発で,温泉余土化が進行している。
4.地すべり状況
 平成元年頃から地すべりブロックの源頭部において地すべり変動が活発化した。そのため、「早雲山地すべり対策検討委員会(委員長 中村三郎防衛大学校名誉教授)」を設置し、ボーリング調査等の結果に基づき地すべり機構解析や対策工の検討を実施している。現在,拡大域1,2,3ブロックを想定し拡大域1についてアンカー工を施工中である。
5.地すべり発生機構
 素因:温泉余土化による地盤強度の低下。すべり面粘土の生成。
 誘因:豪雨による地下水位の上昇,すべり面粘土の膨潤。
6.対策工
 第1・2期工事(昭和年〜昭和年):破壊された砂防堰堤の復旧、導流堤や流路工等の整備。地すべり地内において、源頭部不安定土砂10m3の爆薬による除去、噴気ガスを抜くための排気ボーリング等を施工。
 第3期工事(昭和61年〜平成5年):須沢の砂防堰堤6基,導流堤2基,既設導流堤嵩上げ4基を施工。
 第4期工事(平成6年〜 ):須沢の既設堰堤嵩上げ4基,導流堤3基を施工。地すべり地内では現在耐腐食性の新素材アンカー工336本を施工中。計画安全率1.20
地すべりの特徴
 災害発生後の空中写真
 地すべり平面図
 拡大域1縦断図
 須沢および早雲山対策工平面図
 箱根火山と早雲山地すべりオルソ立体図