日本道路公団     岩殿山地すべり 山梨県 







岩殿山地すべり発生状況                       位置図
            
                        引用文献:奥園誠之(1982):岩殿山 アーバンクボタNo20潟Nボタ

地すべりの概要

1.地すべりの概要
 中央自動車道大月I.C.より東方約2kmの、凸状尾根型地形の長大切土のり面で発生した地すべりである。こののり面は高速道路の施工中に2回の崩壊が生じたため、のり勾配の変更、のり枠工、深礎杭により安定化がはかられた。完成したのり面は、直高50mを越える。
 ところが高速道路開通の約3年後(S47.2)、再び地すべりが発生した。地すべり冠頭部は切土のり面上方約10mに発生し、側方から末端は切土法面全体を地山から切り離すように拡がった。地すべりの移動量は日が進むにつれ増加し、尾根部での引張性の落ち込みは、210mに達した。最初の亀裂発生確認から約5週間後の324日には大崩落の予報が出され、沿道住民の避難が行われた。翌325日の降雨の影響で、6.313.8mm/時間の最大移動量が記録されたが、その後移動量は徐々に減少し、大崩落は免れた。

2.地形・地質概要
 東方に流下する桂川の左岸斜面に位置する。当地区の北側は標高608mの岩殿山、南側は桂川沿いに連続するほぼ垂直な比高100150mの崖が連続している。桂川の南側に拡がる狭隘地には中央線や国道20号が輻湊して通過している。中央自動車道は、桂川を挟んだ対岸、岩殿山の山麓部を、橋梁、トンネル、長大切土のり面を繰り返し通過している。
 当地区の地質は、新第三紀御坂層群の火砕岩類を主体とする。また表層部は、崖錐堆積物に覆われている。

3.地すべり機構
 新鮮な凝灰岩類の上に分布する風化凝灰岩類が地すべり移動土塊となっている。地すべり発生の主な原因は、切土後5年を経過し、雨水浸透の影響で岩の風化が進んでより粘土化し、その層と安定した岩との間に発生したと判断された。地すべり発生の年は、平年に比べ降雪が多かったことも関連している。

4.対策工
仮設工事]
 
押さえ盛土工・・・・・・H鋼を枠組みし、枠内に岩砕・土砂を投入(14,000m3)

主体工事]
 頭部排土
 抑止杭              ・・・・ ・深礎杭・鋼管杭

地すべりの特徴
 地すべり平面図
 地すべり復旧平面図
 断面図