口絵写真および地すべり概要  青ぬけ地すべり(国土交通省所管)  
口絵詳細     
<地すべり地概要>
○位置:新潟県糸魚川市大字小滝
○地質概要
 青ぬけ地すべり地は,糸魚川−静岡構造線の西側に位置することから,斜交する断層群が本地区に集中する.基盤岩は蛇紋岩,石英粗面岩類及び,弱変成を受けた古生層からなる.地すべりは,蛇紋岩分布範囲で多くが発生しているが,これは,断層群により破砕された蛇紋岩が,含水により著しく強度低下したためと考えられる.地すべり移動層は,蛇紋岩礫を主体とする礫混じり粘土〜粘土質礫で構成され,降雨やこれに伴う河川水の流入により活動が活発化する.
○地すべり概要
 青ぬけ地すべり地は,昭和60年に地すべり防止区域に指定された.ブロックは,狭窄部(古生層の不動地)の上部と下部に大きく分けられる.上部ブロック群は北部,北西部,西部,南西部及び南部ブロックに分類されるが,これらの足下には緩斜面が形成され,狭窄部に向かって活動している.下部ブロックは姫川に面しており,姫川がブロック末端を削剥することで活動が上位に波及する.
 地すべり活動は移動杭観測(春・秋の年2回)によるが,融雪期を挟んだ動きが顕著である.地すべりの移動速度は,下部ブロック(10数m/年)>緩斜面(数m/年)>上部ブロック群(数cm/年:いずれも最大値)で,さながら砂時計のように,狭窄部を通過すると移動速度が激増する.
対策工は,脆弱な地すべり移動層が流動的に活動するため,水路工による表面・浅層地下水の排水を主体に行った.しかし,移動速度が速いために水路の破損が激しく,十分機能していない.現在は不動層である狭窄部に集水井を配し,短期間に集中的な排水を行うことで,地すべりの流出口に「栓」をして活動を鈍化・停止させる計画である.
地すべり末端部の状況(姫川河岸)
詳細は「地すべり技術」(第85号)」新潟県の地すべり参照
(提供:明治コンサルタント株式会社)