新技術紹介

横ボーリング工

制作:日本基礎技術(株)

1.点検手法及び劣化診断

(1) 劣化及び損傷の原因と特徴

図1 横ボーリングで損傷等の問題が発生しやすい部分

横ボーリング工では、地下水に含まれる細菌類・藻類や流入土粒子、植物根の侵入などによる集水管の目詰まりが発生しやすい。また、集水管自体が水質により劣化して損傷が生じたり、斜面変動により集水管に割れ・破断やずれが生じることもある。
集水管が鋼管の場合は、錆によるストレーナの閉塞や管底部の腐食が問題となりやすい。
集水管の機能低下は、そのまま地すべり活動抑制機能の低下・喪失に繋がるものであり、特に詳細な点検が求められる。
一方、付帯設備である導水パイプの目詰まりや紫外線等による劣化・損傷、集水桝や流末水路の損傷・変状は、漏水等による地すべり活動の要因となる恐れもあることから、丁寧な点検が必要である。
劣化・損傷等が発生しやすい箇所の事例を図1および写真1に示す。

写真1 横ボーリング工の劣化・損傷事例

横ボーリング工における機能低下の主な要因として、集水管の目詰まりによる集水機能の低下があげられる。
目詰まりを生じさせる原因には生物活動によるもの、土粒子の流入・堆積によるもの、その他の原因の3つに大別される。(表1)

表1 横ボーリング工集水管の目詰まり原因と特徴

横ボーリング工の種別・構造と材質と劣化・損傷の状況・要因及び特徴については、「斜面対策工維持管理実施要領」5)を参照されたい。

(2) 点検手法

1)適用条件

横ボーリング工の点検は、点検者が対象設備及びその周辺を踏査して目視により確認するものである。したがって、地表部の点検に限定され、地中部の状況を確認する必要がある場合は、別途詳細調査を実施する。
付帯施設については孔口保護工部から河川や水路への接続部までを点検対象とする。
ここでの点検手法は「初期点検」及び「定期点検」を想定した内容である。「日常点検」や「異常時点検」は必要最低限の「計画・準備・資料収集」や「事前調査」を前提としており、点検できる内容に制限がある。

図2 横ボーリング工の点検手順

2)点検手法

横ボーリング工の点検は1群の横ボーリング工を対象とし、集水管は1本毎に点検を行う。付帯設備、周辺地盤の順に実施する。(図2)
各点検手順については、「斜面対策工維持管理実施要領」5)を参照されたい。

(3) 点検結果の整理と劣化診断

1群の横ボーリング工毎に、目視及び簡易計測によって得られた点検結果を整理し、写真や概略配置図、スケッチを添付する。劣化や変状が確認された場合、孔番や概略的な位置、推察される要因等について点検表の「異常の概略」欄を活用し、次回点検や詳細調査の参考資料とする。変状箇所については平面図や出来形図等にも位置を記録する。
点検結果に基づき、横ボーリング工の構造物区分(集水管本体、付帯設備、周辺地盤)は、評価基準に従ってa、b、cの3段階で変状レベルを評価する。
各構造物の変状レベルの評価基準および横ボーリング工の点検票(例)の詳細については、「斜面対策工維持管理実施要領」5)を参照されたい。

図3 横ボーリング工集水管孔口の閉塞レベル指数例

(4) 総合判定

点検票の劣化診断に基づき、横ボーリング工に対する総合判定を行う。総合判定においては、変状レベルの条件に応じて4段階の対応レベルの総合判定を行い、定期点検の継続や応急対策措置などの対応を検討する。
横ボーリング工の総合判定の詳細については、「斜面対策工維持管理実施要領」5)を参照されたい。

2.詳細調査及び劣化診断

(1) 詳細調査手法

横ボーリング工の詳細調査は、主に集水管内部の劣化状況の調査となる。点検で変状が確認された施設に対して、変状の種類や程度及びそれらの分布などを把握することが目的である。
総合評価は、詳細点検および特殊な調査手法による調査結果がそろった段階で実施するが、特殊な調査手法を行わない場合は詳細点検の結果にもとづいて評価する。(表2)

表2 横ボーリング工の詳細調査手法

(2) 詳細点検(目視確認・排水量計測・検尺棒計測)

1) 目的

本調査は集水管1本毎の目詰まり・閉塞や破断等の状況を調査することにより、1群の横ボーリング工の地下水排除機能を評価するために実施する。

2) 適用条件

詳細点検の対象は、(概略)点検による変状の有無にかかわらず、1群の全孔とする。
孔口付近の集水管処理方法(維持管理用の掃除口、地中部での集水管の屈曲など)によっては別途、孔口部の取り外しと復旧作業が必要となる。

3)点検手法及び手順

横ボーリング工における詳細点検の手順を図4に示す。図4 横ボーリング工の詳細点検手順/写真2 検尺棒計測

4) 調査結果の整理と劣化診断

詳細点検の結果については横ボーリング工1本毎の情報を詳細調査票に記録する。(表3)
閉塞レベルの評価および閉塞物の種別の判定を行なう。また、孔口付近の破損や変形などの損傷状況についても評価を行う。これら1孔毎の集水管孔口の閉塞と損傷・劣化について、目視調査および検尺棒計測にて変状のレベル区分を行う。また、1孔毎の変状レベル区分を基に、1群の横ボーリングとしての変状レベルをa、b、cの3段階で評価する。
総合判定では、詳細調査の項目毎の結果に基づき、1群の横ボーリング工の劣化状況を判定する。
横ボーリング工における詳細調査の劣化診断と評価方法および総合判定については、「斜面対策工維持管理実施要領」5)を参照されたい。

表3 横ボーリング工 詳細調査票および記入例

3.長寿命化及び機能回復手法の計画設計

横ボーリング工の主な機能である集水機能が集水管の閉塞や破断によって阻害されるが、閉塞や破断の原因はさまざまである。例えば、地すべり活動等によって破断された場合は、機能回復等を実施する前に地すべり活動そのものの沈静化を図る必要がある。
このように劣化・損傷の原因を特定した上で長寿命化及び機能回復手法等を検討する必要がある。(表4)

表4 横ボーリング工における長寿命化と機能回復

横ボーリング工における長寿命化手法及び機能回復手法の詳細については、「斜面対策工維持管理実施要領」5)を参照されたい。

《参考文献》

1)
土木研究所(2011):地すべり防止施設の維持管理に関する実態と施設点検方法の検討-地表水・地下水排除施設-、土木研究所資料第4201号、2011年6月
2)
農林水産省(2013):地すべり防止施設の機能保全の手引-抑制工編-,2013年6月
3)
農林水産省(2008):水抜きボーリングの目詰まり原因とその対策-農村地域地すべり対策施設機能維持検討調査の概要-、農林水産省農村振興局企画部資源課資料
4)
国土交通省(2014):砂防関係施設点検要領(案)、2014年9月
5)
斜面防災対策技術協会編:斜面対策工維持管理実施要領,2016.12.

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